山道や河原を歩いていると、石がいくつか積み重ねられているのを見たことはありませんか? あれは「積み石(つみいし)」と呼ばれています。
なんとなく見かけるけど、あれって何のためにあるんだろう? もしかして、何か怖い意味があるの? と疑問に思ったことがある人も多いのではないかと思います。
今日は、そんな積み石について、その意味や怖いと言われる理由などを解説していきます。
そもそも積み石って何?どんな意味があってどこで見かけるの?
積み石とは、文字通り、自然の石を人の手で積み重ねたものです。特別な道具や接着剤を使うわけではなく、バランスを取りながら石を置いて作られます。
見かける場所としては、山の中の登山道や、川辺の河原、海辺の海岸など、自然の中で見かけることが多いです。時には、お寺や神社の境内などで見かけることもありますね。
では、これらの積み石には、一体どんな意味が込められているのでしょうか? 実は、積み石には一つだけでなく、いくつかの意味があるんです。
積み石が持ついろいろな意味【道しるべ・ケルン・願い事】
道しるべとしての積み石
山道などで見られる積み石には、道しるべとしての意味があります。特に、霧が出て視界が悪くなった時や、道が分かりにくい場所で、「こちらが進む道ですよ」と教えてくれる目印の役割を果たしているのです。昔の人たちが、後から来る人のために、親切心で置いてくれたものかもしれませんね。
ケルンと呼ばれる積み石
登山道などで見かける道しるべの積み石は、特に「ケルン」と呼ばれることがあります。通常、固定されています。これは、世界中の山々で見られるもので、登山者を安全に導くための大切なサインです。ケルンがあるおかげで、道に迷わず安心して登山を楽しむことができます。

願いを込める積み石
積み石には、願い事を込めて積まれることもあります。例えば、旅の安全を願ったり、健康を祈ったり、何か目標を達成したい時に、石を一つ一つ丁寧に積み重ねることで、その思いを形にするのです。また、亡くなった人を供養するために積まれることもあります。石を積むという行為そのものに、人の祈りや意味が込められているのですね。
積み石が怖いと言われるのはなぜ?【賽の河原の言い伝え】
さて、積み石には良い意味がある一方で、少し怖いイメージを持たれることもあります。それは、「賽の河原(さいのかわら)」という古い言い伝えと関係があるからです。
賽の河原は、「三途の川(さんずのかわ)」のほとりにあると信じられている場所です。言い伝えによると、親よりも先に亡くなってしまった子供たちが、親不孝の罰として、そこで石を積む作業を永遠に続けなければならないと言われています。
子供たちが一生懸命に石を積んで塔を作ろうとしても、完成する前に怖い鬼がやってきて、その塔を崩す…そしてまた最初から積み直し…という、とても悲しくて切ないお話です。

この賽の河原の言い伝えがあるため、河原などにある積み石を見ると、この話を思い出してしまい、「怖い」「縁起が悪い」と感じてしまう人がいるのです。
積み石を崩すのは良くないこと?
では、見かけた積み石を崩すのは、良くないことなのでしょうか?
道しるべとしてのケルンを崩すのは、他の登山者を迷わせてしまう可能性があるので、絶対にやめましょう。
また、誰かが願いを込めて積んだ石や、供養のために積まれた石かもしれません。そう考えると、たとえ賽の河原の言い伝えとは関係なくても、むやみに崩すのは、あまり良いこととは言えませんね。石を積んだ人の気持ちを考えると、そっとしておくのが良いでしょう。
そもそも、落石の危険もあるので、崩すのはもとより石をむやみやたらに積むのも避けた方がいいでしょう。
まとめ:積み石を見つけたらどうすればいい?
山道や河原で積み石を見つけたら、それがどんな意味で積まれたものなのか、少し考えてみてください。
もしそれが道しるべのケルンなら、迷わず進むためのサインとして感謝しましょう。もし誰かの願いが込められているのかもしれないと思ったら、そっと見守ってあげましょう。
賽の河原の怖い話を思い出すかもしれませんが、積み石自体が悪いものではありません。自然の風景の一部として、また、そこに込められたかもしれない誰かの思いを感じながら、大切に見守っていけると良いですね。むやみに崩すことはせず、そっとしておくのが一番です。